ももち ど ぶろぐ

ロシア料理 ラルース

浅草にはロシア料理の店が（私の知る限り）3件ほどあるが、ラルースは（私的には）1番の店である。

ランチメニューはないので、滅多にランチで使うことはない。ただこの日は、寒い中、外に居たせいもあって、無性にキャベツロールが食べたくなた。

そう、とにかくもラルースのキャベツロールは絶品なのである。

キャベツロール

キャベツロール（1575円）は出来上がりに3日もかかる、それは職人の手間（技術）という「贈与」から生まれた「純生産」である。1日20個の数量限定らしいのだが、この日はランチの時間帯でもあり、問題なくありつくことができた。

このキャベツロールの特徴は、まずその巨大さにある。誰もがその大きさにまず驚くことだろう。しかしその姿は、大きな立体でありながらも、まるで保護色のようにスープ部分と一体化していることで、これから始まるハイブリッドな楽しさを予感させている。

一口食べれば、大味なところが微塵もない。全ての素材が無限小のように生きている。トマトベースの味付けはしっかりとしているが、ワインもかなり効いている、しかしどちらかが勝っているわけではない。全ての素材が、でしゃばりすぎず、かといって控えめでもなく、中庸な自己主張をしている。

全体はとても柔らかいのだが、かつ、しっかりと固体化している。全てが微妙な中間性にある。かといって溶けていない素材は、けっして自らの主張も忘れてはいない。ラルースのキャベツロールは、そういう素材の、高い次元での複合体（コンプレックス）なのである。

この日は2個で630円のピロシキもオーダーしたが、私はキャベツロールで満腹なのであり、全てを食べきることができなかった――そんな時には持ち帰りである。