村山からの帰りは、仙台に行く大山さんの車に便乗して仙台まで出て、それからはやてに乗って上野まで戻った。

茜姫

仙台へ向かうみちすがら、大山さんは壽屋寿香蔵に寄ってくださり、私は「茜姫」という菓子をいただいた。

茜姫 茜姫


菓子といっても、それは梅漬けであって(壽屋は漬物屋である)、いってみれば甘い梅干のようなものである。

しかしその甘さが絶妙で、甘すぎないことで、私のような辛党(酒飲み)でも、うまいな、と思う。

そして額田王の「あかねさす~」の句が書き添えられた添え書きがなんともよい。

これでいいということはないが

これがわたしの

精一杯の姿です。

上はその一文だが、これ読んだだけでも、この店は、ただものではないな、と思う。 

壽屋寿香蔵

そんな壽屋の「ただものでなさ」は、蔵を改造した店舗にもよくあらわれている。

店先に赤いポストがあり、それはまだ現役のようで、その存在は、郷愁を際立たせ、この店の建築的戦略を見事に成功に導いているように思う。こういう小技のきく店はただものではない。

壽屋寿香蔵 郵便ポスト

壽屋寿香蔵
山形県東根市大字東根甲544
0237-42-0173
壽屋寿香蔵