アルクのキクタンで英単語を学ぶ
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2009年4月の記事一覧
小事飯
最近の私的な流行事は小事飯であって、朝食、昼食、小事飯、晩飯という食事のパターンが多い。時には、朝食、小事飯、昼食、小事飯、晩飯だったりする。起きている間は常に小腹が満ちている。
それは食欲が増しているというのではなく、わざとそうしているのであって、つまり一度に食べる量は減らしているのである。だから総摂取カロリーは一日3食と変わらないか、もしかしたら少ないかも知れない。
つまり一日4食、5食の全てが小事飯ということもできなくもなく、それは極端な満腹/空腹の差異を己の身体に与えないようにしている、といえないこともないが、だからといってそれは、だからどうした、に過ぎないわけで、つまりたいした理由がある由もない。
そこでの小事飯は、大凡が10時の一服、3時の一服なのは土建屋の律儀さなのだが、多くは仕事中である。なのでちょっとつまめる程度のものがいいのは当然で、あたしの場合それは寿司になる。寿司といっても海苔巻きやいなり寿司なのだが、あたし的にはいなり寿司にとどめをさすのである。
久しぶりに東向島の亀屋にいくことにしたのは、T君のためということになっているが、ほんとはあたしが行きたかったのであって、なにしろ亀屋は「酒場遺産」である、いつ店が閉まってもおかしくない。行けるときに行っとかないと後で後悔することになる。
しかしあんまりに久しぶりだったのか、酷く酔っぱらっていたせいなのか、タクシーに乗ってもうまく道を指示できない自分に「あかんではないか」とマイブームの言葉を独りごち、ようやく出た言葉は「言問通りをまっつぐ行って、水戸街道に入って、それをずっと行って、途中、鐘淵の駅に向かってグッと曲がってハイできあがり」なのである。酔っぱらい特有のイケイケである。
そんな酷い客にもタクシードライバーは冷静で、まごう事なく店にたどりつく。タクシー代をスイカで払えば、亀屋に灯りはついており、とりあえずホッとしながら引き戸を開ける。
しかしなにか様子がヘンなのは、カントクが居るはずのカウンターの向こうにカントクの姿がなく、見しらぬお方がいたからだ。
ん?なのである。
着いた早々、「あんたはだれだ」と聞くのも失礼だと思い、経営がかわっていなければ、お母さんは厨房にいるはずだ、とトイレに行くふりをして確認に。
これでお母さんじゃない人が料理をつくっていたら、あたしゃどうしようと思いながら、厨房をみれば、あーお母さんがいた、とホッとする。
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町田 康(著) |