朝そば朝そば


朝そば

午前7時起床。浅草は晴れ。盛岡では大好きな「冷麺」を食べられず、日程の関係で花巻の「マルカン食堂」にも行けず、この日は朝も早く8時50分の新幹線で帰路につかなければならないという不幸者だった。それでも、朝飯だけでも食わなくては、と盛岡駅ビル フェザンの「おでんせ館1F」にある「蕎麦にはち」という店に入った。この「蕎麦にはち」は、なんと7月25日にオープンしたばかりだという。

あたしは「朝そば」を貰う。蕎麦は押出式冷麺製造機で一食一食造っている。それにトッピングを受付でのせる。しかし、この蕎麦は「冷麺」の様にはつるつるしない。むしろザラザラとしてちょっとあたしは面を食らった。蕎麦の割合はどうなのだろう。店の名前同様二八かなのかな、それとも半割程度なのかは分からない。でも非常に食べやすい蕎麦だ。まるで東京の立ち喰い蕎麦屋で食べているようにだ。

だが、ちょっと待てよ、と思った。「蕎麦にはち」はこんなに食べやすくていいのだろうか、と思った。汁も味も何処かで味わった(様な)決していやらしさがない中庸さだし、「朝そば」自体も完璧だ。これはなにかがあってそれを完璧に模倣することだけを目的に造られたような蕎麦だな、と思う。あたしは東京の浅草の人だ。それが二百何十㎞も離れた盛岡の蕎麦屋に東京の蕎麦屋の様に入り、東京よりも立派な食券機で食券を買い、さらに立派なカウンターで蕎麦を貰う。

外には男の人がいて、どうでしたか、と感想を聞いてくる。そして、そんなことを全て当たり前のように過ごすあたしがいる。いや、当たり前ではない、と気付く。不思議な感覚に陥ってしまう。この「東京の立ち食い蕎麦屋と同じ(様な)に過ごしてしまう」と云うのは褒め言葉なのかね、と己に聞いてみる。いやむしろ東京よりも洗練されている。東京よりも東京っぽい立ち喰い蕎麦屋じゃないのか、と思う。うーん、なんとも不思議な蕎麦屋と云えよう。

蕎麦にはち

蕎麦にはち
岩手県盛岡市盛岡駅前通1-44 1F