生粉打天せいろ
午前4時30分起床。浅草は晴れ。
健康診断の結果が届き、要精密検査のマークが1ヶ所ついていた(他に治療中が1つあるが)。
部位は消化器。あたしの母は消化器のガン(胃ガン)で亡くなっている。
「あー、いよいよあたしにも来たか」と、鐘ヶ淵の主治医の元で胃カメラを飲んできた。
検査はバリウムとは違い、麻酔を効かせて行うため、最中の経過は全くわからない。
しかし、主治医の話では「慢性胃炎ではあるけれど、今のところ心配はない」とのこと。
不安が一気に吹き飛び、私の気持ちは急上昇だ(笑)。
現金なもので、急に腹が減る。
遅い昼餉(ひるげ)にと『生粉亭(きこなてい)』へ向かった。わずかな距離だが、喜びを噛みしめるように歩く。
店は「東京リハビリテーション病院」というか、「都営防災団地」の近くにある。
品書きから、ランチセットではなく「生粉打(きこうち)天せいろ」を選び、ついでにビールもつけてみた。
この「生粉打」とは十割蕎麦のことだ。ここで十割を手繰るのは初めてである。
まずはビール。お通しの「揚げ蕎麦」をポリポリとやりながら、運ばれてきた「天ちら(天ぷらの盛り合わせ)」を眺める。
......いやいや、これは「ヤバい」佇まいだ。
さっそく「なす天」をいただくと、これが実にうまい。その勢いのまま、大葉、穴子、海老......と、蕎麦が出てくる前にすべて平らげてしまった。
朝から何も食べていないとはいえ、己の食い意地には惚れ惚れする(笑)。
そうこうするうちに、主役の蕎麦が登場した。淡い茶色を帯びた麺の表面には「ホシ」が見え、「いかにも十割です」と主張している。
それを、鶉(うずら)の卵を割り入れた蕎麦汁に浸して手繰る。
「いや、うまいな。この店、こんなにうまかったっけ」と、失礼ながら見直してしまった。
すると、お店のおばさんが別皿で二八蕎麦をサービスしてくれた。
さっそく手繰ってみると、驚いたことに、汁の味が十割蕎麦のときよりもぐっと引き立つではないか。
「何かの間違いか」と交互に食べてみたが、やはり十割は蕎麦の個性が強く、二八は汁の旨味を連れてくる。
同じ汁でこれほど印象が変わるものか。まるで狐につままれたような気分だが、どちらも「うまい」ことに変わりはないのだ(笑)。
十割蕎麦を手繰る
うまいのだよ(笑)
「お蕎麦deランチ]
手打そば生粉亭
東京都墨田区墨田5丁目5-3

