夏草や
 兵どもが夢の後

午前6時45分起床。浅草は曇。祭りも終わればまるでそんな朝である。この句は芭蕉の『奥の細道』にあるものだが、最近遊んでいるへんなもののひとつに『えんぴつで奥の細道』がある。

えんぴつで奥の細道

えんぴつで奥の細道

作者: 大迫閑歩, 伊藤洋
出版社/メーカー: ポプラ社
発売日: 2006/01
メディア: 単行本


当然私は万年筆で書いているが、それはまるで石川九楊先生の『縦に書け!』の実践入門版である。Web2.0、テクストといえばエディタで横書きの時代に(からこそか)よく売れているらしい。特に世の奥様方に人気があるとのこと。どちらかと云えば年寄り向きの本である。

最近は「ちょい古る日本語」の見直しブームのような感がある。例えば『えんぴつで奥の細道』は、読みにくい(と思われる)漢字にはふりがながついているのだが、それを参考にして読むと、例えば序章の『月日は百代の過客にして』は、『つきひははくだいのくわかくにして』となる。百代は「はくだい」であり、過客は「くわかく」である。

それは私が教育を受けたものとは違う読みであるが、なにか何処かで懐かしい感じがする。記憶の深層(無意識)をなにかくすぐられるよな心地よさがある。私のような世代の日本人(日本語で考える人)の深層には、そんな音の記憶へつながる奥の細道があるのかもしれない。

参考

縦に書け!―横書きが日本人を壊している

縦に書け!―横書きが日本人を壊している

作者: 石川九楊
出版社/メーカー: 祥伝社
発売日: 2005/06
メディア: 単行本