みやこ旅館
ここはお世辞にも近代的な宿でなどではない。 しかし日本一朝飯のうまい旅館なのである。
この旅館の佇まいは、ビジネスホテル愛用の私には、非日常そのものであり、私は離れ(のような)部屋に泊まったのだが、そこへ通ずる渡り廊下は、眩暈がしそうな詩的空間であった。
はなれ
ここで創造力が機能しないなら
想像が沸かないのなら
自らの才能を
疑ってみた方がよいだろう
詩的な空間とは
無意識が
意識を
ひょいと
飛び越えてしまう空間である
ここでは
あらゆる時空はつながる
時間も距離もない
遠景の世界である
日本一うまい朝食
しかし、この旅館、なにが凄いかといえば、朝飯のうまさにトドメをさすのである。旅慣れた私が、正直驚いた。
日本一うまい朝食、という称号は、今現在、みやこ旅館のものである。なんの変哲もない普通の朝食にしか見えないだろうが、それはITが香りを伝えられないからである。
朝食の命は香りである。みやこ旅館の朝食は、なんといっても、炊き立てのご飯の香りが絶品なのである。部屋中にご飯の香りが充満していて、食べる前から舌と胃袋が嬉しくてしょうがないのである。
聞くところによると井戸水を使って炊いているらしのだが、確かに水の精も生きている。そして味噌汁は、冥加入りであって、ご飯との相性も抜群――涙がちょちょ切れる。次回の宿も、みやこ旅館に決定なのである。
追記
060924追記:9月24日の朝食。
ゆるぎない姿である。