ハイボール
向島の岩手屋へ、今年はじめて顔をだしてきた。なにか呼ばれているような気がしたのだ。
間が空くと入るには少々気がひけるものだが、常連さんたちは、昨日会ったかのように迎え入れてくれるわけで、ありがたいことである。私もすっとこの空間に混じることができて、なにか安心した。いただくのは、あいかわらずのハイボールで、一杯300円也。
目玉焼き
酒肴もこれもいつもの目玉焼きで、由緒正しく醤油をかけて食べる。油を吸い込んだキャベツの微塵切りがうまい。
一軒アジール
岩手屋は、浅草のホッピー通り(煮込み通り)が通り全体でアジール化しているのとは違って、店一軒でアジールをつくりだしている。
カウンターに座った私の背中は、引き戸によってつくられた結界と接している。
つまりここは引き戸一枚で子宮的な空間をつくりだしてしまっているのだが、たぶん引き戸がなくてもそれはかわらないだろう。
その子宮的な安心感は、つまり男をひきよせる。岩手屋と〈私〉は見えないへその緒でつながっていて、(それは擬似的なものに過ぎないとしても)私の帰る場所としていつでも「街的」なのである。
岩手屋
墨田区向島3-46-8
03-3623-3992
[浅草グルメマップ]
2008年3月改築された。岩手屋改めいわて屋となった酒場コミュニティと云爾。(向島3丁目) from モモログ