午前7時58分起床。浅草はくもり。
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立原道造(著) |
僕はいま寝台者の中にいる もう盛岡を出ていくつかの駅をすぎたようだ 外はくらい また 「くらい夜をとおって!」僕はおまえのところへかえってゆく (立原道造:『盛岡ノート』:p87-88)
さわや書店
3月3日、新幹線の待ち時間に、盛岡駅フェザンにあるさわや書店に立ち寄る。
この書店は、郷土本の品揃えに力を入れていて、盛岡らしさ(?)が漂う、私お気に入りの書店である。
そこには、立原道造の『盛岡ノート』(再刊版)が平積みにされていた――たぶんこんな書店は全国でここだけだろうと確信した。
私は条件反射のようにそれを手にしていた。
盛岡ノート
立原道造の『盛岡ノート』は、既に何度も読んでいる。それは佐藤実(著)の『深沢紅子と立原道造』に収められていた、立原道造自筆のコピーを通してである。(上図:『深沢紅子と立原道造』:p103)
私はこのノートに衝撃を受けた。そして私自身が、縦に書け!を実践した。
それが活字になって、また私の手元にある。それは自筆のものとは違って、浮上するテクストである。
そのことで、この詩人の心情が、かえって痛々しく私には届くのだ。
「くらい夜をとおって!」
くるおしい。