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水門談合70億ムダ使い…公取委調査。

■公取委の調査

水門談合70億ムダ使い…公取委調査(so-net:読売新聞)

水門設備工事をめぐる官製談合で国土交通省が公正取引委員会から改善措置要求を受けた問題で、談合の対象とされた工事の落札率(予定価格に対する落札価格の割合)の平均は95%以上で、談合をやめたとされる時期以降は20ポイント以上も下落していたことが公取委の調べでわかった。


この記事では、「単純計算で計約70億円が無駄に使われたことになる」とされている。これを真に受ける方は多いのだろうなと思う。そしてこれが、このような大手向けの公共事業ではなく、地方の小さな建設業が受注する公共事業までを含めて同じ文脈で語られることを(私は)懸念する。

本来公共投資は、それがなにに使われようが無駄ではない――市中にお金が回ることで(特に金融機関の整理が一段落した今なら尚更である)――。今はそんな楽観主義的ケインジアンの意見など誰も耳をかさないのがおちであることぐらいは自覚している。

■公共事業の価格決定メカニズム

公共事業の価格決定メカニズムは、発注者の積算による予定価格がまず基本にあるが、今やその役目は、予定価格以下であることで、価格は妥当性を保障するものでしかない――70億円の無駄遣いの根拠はここにある。逆に言えば、どんなに正当性を持とうが、予定価格以上では落札できない、棒にも箸にもかからないということだ。

つまりこのことが、地方の小さな建設業が受注するような公共事業で語られることを(私は)懸念しているに過ぎない。

■談合過敏症

今は談合過敏症の時代である。贈与的なものを破壊するために――何のために?――、そこに交換の原理(市場原理)が持ち込まれた。しかしじつは、市場の原理など機能してはいないのである。機能しているのは、価格はすべて予定価格以下に収まるというヒューリスティックス(簡略化ルール――思い込み)だけであり、贈与的共同体の破壊メカニズムだけである。

■市場原理を機能させる

もし市場原理を言うのであれば、予定価格内での落札という制度を廃止すべきである。価格は需要と供給のバランスで決まると(市場原理主義者のように)単純に考えれば、同じような仕事でも、季節によって価格が違っていいし、職人の不足する繁忙期は予定価格を上回る価格で受注されるのは当然のことでしかない。しかしそれができないのである――つまり市場原理など機能してはいない。機能しているのは価格低下圧力だけである。

■困るのはだれか

つまり先の簡易化ルールに囚われていることで、市場原理の番人たる公取委がこんな安易な発表をしてしまう。そのことで予定価格も落札価格もすべてがまた下方に向かう。そこで一番困る人々は誰か――建設業で働く人びとであり、公共事業を食物連鎖系の頂点にもつ地方の方々である。予定価格における人件費は下がり続けている。そのことをマスメディアが取り上げることはないし、ぶれない軸としての大衆が知る由もない。

■年収300万円時代どころではない

森永卓郎が年収300万円時代の生き方を書いて3,4年経つだろうか。それは現実化してきているし、地方においては、年収300万円でさえ困難な状況である――それは建設業にかかわらずである。その下方圧力を作り出したのは、ほかならぬ国の政策(小泉改革バブル)だったのであるが――それは自民党の政策であったことで、多くの建設業で働く人々は慣習的にそれを支持してしまった。現政権も経済政策は前政権を踏襲しているが、小泉さんの手は二度は使えないだろう。

(編集中:続きを書くかもしれない)

Comments [2]

No.1

今朝finalventさんの日記に「ゼネコン談合への独禁法適用は米国の思うつぼだ」という趣旨のことが書かれていました。

最近私のまわりで、商売は効率ではない、合理性でない、と言う人が増えています。

No.2

>ひできさん

コメントありがとうございます。

>商売は効率ではない、合理性でない

「ない」というか「だけではない」という感覚でしょうね。合理は細密画であり、対象に近づき分析することですが、どうやら経営は、そこから引いて全体を俯瞰する――つまり略画的な才能を要求されているように思いますね。

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