オムライス
昨日のランチはグリルグランドでオムライスを食べた。グランドさんには、特製オムライスやオムハヤシのような、卵がふわふわでデミグラスソースのかかったタイプもあるが、「オムライス」は由緒正しいオムライスの姿をしていることで普通のオムライスではある。とはいってもここまで丹精な姿をしたオムライスも滅多にないだろう。
秩序と混沌
このオムライスまずその卵の調理技術に驚かされる。その表面はまるでビロードのように滑らかで美しい秩序を見せる。それは粒子が規則正しく並んでいる美しさである。
かと思えばその裏面(内側)は一転して半熟としての混沌なのであって、まさにジキルとハイドなのであるが、それが薄いたたまご焼きの表裏で生まれていることを考えてみてほしい。びっくりするよ。
一枚の皮の表裏にふたつの個性を作り出すこの技術は、まさに職人芸としか言い様がないのであって、私は思わず唸ってしまった。
チキンライス
そして矛盾としての抱衣(オムレツ)に包まれているのはチキンライスである。それは理想のオムライスの組み合わせでしかないのだが、このチキンライスが凄いのは、卵の傑作を破壊するような真似をしないことだ。
ハイブリッド
それはあくまでも控えめな塩加減で存在する。このご飯と卵は、対立する二項ではなく、いつの間にか融合(ハイブリッド)する要素なのである。
勿論それを可能としているのは、内側の卵の混沌であるのだが、その融合性はオムライスにかけられたケチャップまでがそうであることで、これは、ひとつの完璧な創造体として存在するのである。
グリル グランド (洋食 / 浅草) |