今半別館
午前5時15分起床。浅草は晴れ。昨日(6月1日)のお昼は、岩見沢から先進会の皆さんが浅草においでになられたので、浅草寺門前の今半別館でランチとした(まあ、ランチと呼ぶにはいささか大所帯ではあったが)。
今回は大人数であることで、今半別館の二階の座敷を使わせていただいた。今半別館の建物は、登録有形文化財であって、その座敷で牛鍋をたべる機会は、浅草に住んでいても滅多にない。今回は、私自身も観光客気分で楽しませていただいたのである。
牛鍋
メニューはお昼のすきやき定食(4200円もする)を予約しておいた。これはつまりは「牛鍋」である。
今半別館のすき焼きは、鍋に割り下をいれ、ザクと牛肉を入れて煮て食べるスタイルである。ザクはねぎ、春菊、えのきだけ、それに豆腐としらたき、という素っ気無さである。それは浅草の牛鍋のデフォルトだと思っていただいてよいだろう。
私は浅草に住むようになってこの食べ方に馴染んでしまったわけだが、これはどこか粗野であって、野生的であり、悪党的でさえある。なので「すきやき」という呼び名もよいとは思うけれども、やはり「牛鍋」と呼ぶことで、その悪党性を強調したい。
高村光太郎の「米久の晩餐 」は、牛鍋文学の傑作だが、牛鍋をたべる群集を次のように表現している。
(略)
八月の夜は今米久にもうもうと煮え立つ。
ぎっしり並べた鍋台の前を
この世で一番居心地のいい自分の巣にして
正直まっとうの食欲とおしゃべりとに今歓楽をつくす群衆
まるで魂の銭湯のように
自分の心を平気でまる裸にする群衆
かくしていたへんな隅々の暗さまですっかりさらけ出して
のみ、むさぼり、わめき、笑い、そしてたまには怒る群衆
人の世の内壁の無限の陰影に花咲かせて
せめて今夜は機嫌よく一ぱいきこしめす群衆
まっ黒になってはたらかねばならぬ明日を忘れて
年寄や若い女房に気前を見せてどんぶりの財布をはたく群衆
アマゾンに叱られて小さくなるしかもくりからもんもんの群衆、
出来立ての洋服を気にして四角にロオスをつつく群衆、
自分のかせいだ金のうまさをじっと噛みしめる群衆、
群衆、群衆、群衆。
そう牛鍋は本来群集の食べ物であり、大勢で食べると余計に楽しいのである――ひとりで食べたらこれほど寂しい食べ物はないだろう――。そんなわけで、この日は私も大いに楽しませていただいた。その様子はphotocinemaにまとめてみた。
浅草今半 別館 (すき焼き / 浅草)
★★★★☆ 4.0
台東区浅草2-2-5
03-3841-2690
[浅草グルメマップ]
Comments [2]
No.1勝井裕幸さん
昨日は大変ありがとうございました。
先進的な浅草で伝統の「牛なべ」で、もうたっぷりと堪能させていただきました。
昼から大宴会になってしまいましたが、最高のひと時を過ごすことができました。
本当に
No.2momoさん
>勝井さん
お疲れさまでした。
今半別館の座敷は、浅草に住んでいても滅多に使う機会はないのでして、今回は、私も大変楽しませていただきました。
感謝申し上げます。
また、是非、浅草へ遊びにおいでください。