ヌァー パット バイガパオ
6月6日のランチはクロープクルアで、ヌァー パット バイガパオ(牛ひき肉のスパイシー炒め)であった(860円。)
クロープクルアは、あたしの東アジア的ソウル・フード(パトリ)化している、と以前に書いた。それは「まれびと」(@折口信夫)の呼び出しである。
それは懐かしさかもしれず、そのようなものが料理に秘められていることで、つまりクロープクルアの料理は、東アジアの忠実なコピーではなく、かといってシミュラークルでもなく、それは日本的なものとのハイブリッド(混血)としての創造性をもつ。
ひねり(創造性)
それをこの店の持つひねり(創造性)とあたしは呼んでいる。
伝統を重んじる浅草にあって、クロープクルアはある意味異端である。しかし、その異端は奇をてらうものではなく、タイ/ベトナム料理の基本をしっかりと踏まえている。その上に創造性が機能している。その創造性の繰り返しがつくる強度ある空間が、とても心地よく感じるのである。(クロープクルアのひねりの空間―世界一うまい生春巻き。(浅草1丁目))
バラバラにして混ぜること
そしてあたしは、その創造性への敬意として、これを(食べる前に)バラバラにしてゴチャゴチャに混ぜるのだ。
それは日本的には「行儀の悪い」モノでしかないけれど、この料理はこうして食べることで、楽しさは倍増するのである。
それは、すべての微分が、バラバラだけれどもされど複雑な集合を形成することのたのしさ、つまり無限小を感じる楽しさである。
食べるということは、そういうことを覚えることでもある(たぶん)。だからなにを食べてもいいわけじゃない。そして何処で食べていいわけでもない。それを教えてくれる店でなくてはならない。それを「街的」という。
クロープクルア (タイ料理 / 浅草) |