公共事業3%削減
<08年度予算>「公共事業3%削減」諮問会議メンバー提言 Yahoo!ニュース‐毎日新聞
8月1日に開かれる政府の経済財政諮問会議で民間メンバーが提出する08年度予算編成に向けた「予算の全体像に向けて」と題する提言が30日、明らかになった。08年度予算編成について、「骨太の方針2007」では見送られた公共事業関係費の削減目標について「前年度比3%の削減」を明記した。
追い込まれた役人は、「3%削減」などと明記されたら、10%ぐらい削減してしまうだろう。
経済財政諮問会議
経済財政諮問会議のトップページには大田大臣からのメッセージがある。
このたび、6月19日の経済財政諮問会議において「経済財政改革の基本方針2007」~「美しい国」へのシナリオ~がとりまとめられ、同日に閣議決定されました。/昨年9月に安倍内閣が発足して以来、美しい国づくりに向けて、経済財政諮問会議は、人口減少下における成長の実現、戦後レジームから脱却するための行政・財政システムの改革という2つの大きなテーマを念頭に置いて、精力的に審議を行ってまいりました。「基本方針2007」は、これらの観点から、安倍内閣が取り組む課題とその改革の方向性を示しています。
美しい国
安倍さんが続投の理由にしている「責任」とは「美しい国」づくりなのだろうが、その「美しい国」づくりにむけて、2008年度予算では「公共事業3%削減」が提言される、ということだ。
安倍さんは責任をもって「美しい国」づくりをするために、公共事業は3%削減する、とうのであろうか。
そもそも「美しい国」とはなんなのだろうか。皆さんは知っていますか。
「経済財政改革の基本方針2007」~「美しい国」へのシナリオ~ではこうなっている。
(「美しい国」づくりに向けて)
政府は、「美しい国」づくりに向けて歩み始めている。経済システムもまた、「美しい国」にふさわしく、我が国の文化、伝統や自然に根ざした強みをいかして、日本ならではの競争力あるものに変革されなくてはならない。「美しい国」の経済とは、自由と規律と持続可能性という3つの要素を兼ね備えたものである。
そのためには、
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まず、「自由な経済」とは、新しいものが生み出される若々しさと柔軟さをもった経済である。異質なものがぶつかり合う中からイノベーションが生まれる。多様性を受け入れるオープンなシステムや、人や資金の円滑な移動を妨げない仕組み、リスクへの挑戦が促される仕組みなどの環境づくりが求められる。
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自由な経済システムを保つには、「規律ある経済」が不可欠である。ルールが確立し、事後的なガバナンスが十分に機能する健全な市場経済を形成する必要がある。
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「持続ある経済」とは、子どもや孫の世代への責任を果たし得る経済である。我々は、次の世代に自信を持って引き継げる経済社会をつくらなくてはならない。地球環境はもとより、国内の財政や社会保障においても、現在の世代が将来世代の選択肢を狭めることがないよう、ほかの世代に過度に頼らない「世代自立」の社会構造を目指すことが必要である。
としている。
私は『経済システムもまた、「美しい国」にふさわしく、我が国の文化、伝統や自然に根ざした強みをいかして、日本ならではの競争力あるものに変革されなくてはならない。』ということばに素直に同意したい。
戦後レジームからの脱却というレトリック
しかし「戦後レジームからの脱却」というフレーズを安倍さんが使った途端に、「美しい国」は巧妙なレトリックでしかなくなってしまう。
「戦後レジーム」とは、もちろん開発主義であり贈与社会であるのだが、ではなぜ我が国が、敗戦後に経済復興が可能だったのかを考えてみればよいだろう。
それは超合理性とも呼べる贈与社会的基底が我々の社会にあったからだ。
経済は経済合理だけは動いていないことを、我が国の戦後は証明している。(それは主流経済学者ではない研究者の研究により鮮明である――例えば社会学や行動経済学)。
しかし「戦後レジームからの脱却」というフレーズは、「我が国の文化、伝統や自然に根ざした強み」を、あたかも全て〈悪〉であるかのように否定してしまう――ことで贈与社会、中景、種的なものが破壊される。(なので中景的なものが肩代わりしていた教育にまで口出ししなくてはならない)。
そしてそれ(地域社会・中景)をかろうじて維持してきた地場の公共事業という産業をも否定してしまう。(その決着のつけ方は単なる市場原理の導入と労働力の移動でしかない)。
つまり「戦後レジームからの脱却」という文脈で、安倍さんは小泉さんを周到し、竹中‐大田路線(サプライサイド経済学)の経済政策をとってきた。
そのことで、全ては、ネオリベ(新自由主義)的な政治経済教義に還元されてしまう。そして中景的なもの、種的なものはことごとく破壊される。
小泉さんはこれを巧妙に「構造改革」というなんだか分からないことばでごまかしていたが、これをいまだに国民が支持していると安倍さんは勘違いしている。(今思えば、あれはナンだったんだろうね、というのが世論だろう)。
安倍さんは「基本的な政策は批判されていない」という。現実が見えていない、というよりも見えているが変えられないのかもしれないな、と(私は)思う。(本当に見えていないのなら、もう、どうしようもなくダメなだな、と思う)。
大事なのは安倍さんのいうように「我が国の文化、伝統や自然に根ざした強みをいかして、日本ならではの競争力あるもの」という文脈である。それが「美しい国」だと(私は)思う。全否定はない。創造性は象徴の一部否定からしか生まれない。
しかし現実の経済政策には、その文脈がないことで、「美しい国」づくりには程遠い現実が生まれてしまっている――ことで今回自民党は大敗したのである。
キアスム
安倍さんに(自民党に)今必要なものは、全人格をもって現実を引き受けることで状況を変えるキアスム転換であろう。
それは、小沢さん&世論(もしかしたら自民党内部)にひねられる前に、自らひねること(自らがトリックスターであること)だ。
具体的には、大田弘子経財相そして経済財政諮問会議のメンバーを含めた、経済政策スタッフの総入れ替えだろう。それもサプライサイドじゃない方々にだね。(経済財政諮問会議は小泉さんの遺産だし無くしてもよいだろう)。
しかし安倍さんは意外と不器用なようで、線的なことしか出来ないのかもしれない――ことで解散総選挙は近いのかもしれない。
以上、自民党支持者として書いてみた。