天王寺蕪天王寺蕪


天王寺蕪

伝耕さんの贈与から天王寺蕪てんのうじかぶらを昨晩いただいのだが、身のみならず青い葉っぱを食べて驚いた。「ん、これはどこかで食べた味だ」と。

無論、天王寺蕪を伝耕さん以外が送ってくれるはずもなく、以前にもこの蕪を食べているはずなのに、あたしはなんとも不思議な感覚にとらわれていたのだ。

それで付いて来た「なにわの伝統野菜」という小さなレジュメを読むと、次ぎの様に書かれているではないか。

●天王寺蕪
身の部分はほんのりと甘く普通の蕪よりもしっかりとした歯ごたえ。
与謝野蕪村に「名物や蕪の中の天王寺」と詠まれていたり、昔、長野県野沢村の住職が天王寺蕪をふるさとに持ち帰り、栽培したものの気候と風土の違いにより身の部分が育たず葉っばだけが出来たものを「野沢菜」となった事等、有名な話がたくさんある。

成る程、野沢菜なのか、と思った。確かに「野沢菜のような味」がする。しかしこれが野沢菜になったのだとは到底思えないのだが、きっとこの蕪と近縁種なのだろうな、と思うのだ。

しかしさすがに「なにわの伝統野菜」である。なにかある、という裏を読みながら食べるとこれはなんとも楽しいのだ。そして遠い四天王寺の蕪をこれほどに「うまい」と思って食べたことはなく、正に「此頃は蕪曳くらん天王寺」(正岡子規)なのだ。

なにわの伝統野菜

四天王寺西むら
大阪府大阪市天王寺区四天王寺1丁目12-10