ニシンそばニシンそば


ニシンそば

午前5時30分起床。浅草は晴れ。この日は三丁目の「弁天」で「ニシンそば」を手繰った。この店の「ニシンそば」はその造りに大きな特徴があり、最初は透明なお出汁が注がれてくる。ニシンは姿形さえ見えない。この汁だけでも充分にうまいのだけれども、ニシンを食おうかと転地返しを試みると、ミシンとニシンに染みた煮汁が染み出してくる。

それはやがて醤油色に蕎麦の丼を染めるのである。そして、ふいに柚子の香りが口の中に広がる。こんな風に出来上がった反転の蕎麦が不味いはずはない。すばり、うまいのである。

元々この辺りは、あたしのかつて住んでところで、今の四丁目よりも少しばかり上品さが漂う。しかし、その上品さも奥浅草の中で、であり、たかが知れている、と云えば云える。ただ、たかが知れていないのは「浅草の圧力」とでも云うべきこの店の暖簾の重さで、店に居るだけでそれが伝わってくる。これは昨日や今日出来た店が真似できるものではないのである。[浅草でランチ

ニシンそば

弁天
東京都台東区浅草三丁目21-8