ゴールド・ラッシュゴールド・ラッシュ


切れそうな青い葉に、先が黒くなたひげ根

午前3時20分起床。浅草は晴れ。「馬渕さん」が「山田農園」の「ゴールド・ラッシュ」を贈ってくれた。この「トウモロコシ」は蓋を開けると夏の香りがぷーんとする。切れそうな青い葉に、先が黒くなた「ひげ根」。こいつはうまいぞ、と云っている。

「トウモロコシ」は「ひげ根」の色が黒い方がうまい。「ひげ根」の色が黒茶色っぽい方が良い。さらには、「ひげ根」がしめっていることもだ。とりたての「トウモロコシ」は「ひげ根」が湿っている。つまり乾燥していなければ新しいわけで、これは「ひげ根」が(ようやくだが)湿っている。

早く食べよう、とあたしが云うものだから、家人が、今年はそのままラップでくるんでレンジでチンではなく、鍋で茹でたのだ。なぜならウチのブレーカーが落ちるからだよ(笑)。エアコンをはじめ夏場は電気のラッシュなのだ。茹でている時の咽せるような香りは、ウチのうまいものの基本だ。

ゴールド・ラッシュ

そして出来上がり横たわる「ゴールド・ラッシュ」。今までの中でも一番うまそうに見えた。しかしそれは新しい味の記憶であって、「トウモロコシ」は、何時の間にか(あたしの中では)綺麗な黄色の粒が並んだものになっている。昔の「トウモロコシ」はこんなふうじゃなかったよね、と想い出そうとするが想い出せない。

ただ、時々虫が居て、「トウモロコシ」を所々食べたいたりしていたはずなのだ(笑)。その「トウモロコシ」も今や新しい〈対象a〉になってなってあらわれている。だけど、あたしらの世代は、どこかで忘れた〈欲望〉の対象を見つけようとはしない。

黄色い実が金貨に見えそうなこの「トウモロコシ」を一本頂いてみた。うないのだ、そしてこれは甘い。この甘さはあたしの持病である糖尿病には悪いものだろう、ということは直ぐにわかる。甘いはうまい、でも身体には悪いのである。だけでもこれでいいのだと思う(もしくは思わない)。体に悪いものをむしゃぶり食って、今のあたしがあるのである。

ゴールドラッシュ

切れそうな青い葉に先が黒くなたひげ根