ここはホルモンもあれば、ソースカツ丼もあるし、ラーメンもあると云う、まあなんでもある普通の食堂(タクシーの運転手さん曰く)なのだけれども、来集軒のチャーハン並みに、私の過去把持(パトリ性)を刺激したものがあて、それはなにかと云えば、塩焼きそばなのである。
それは学生の頃喰ったような気がする、ような気がする、ような気がする……とでも云うような、曖昧な記憶なのだが、無意識の中に、確かにこの味はデータベース化されていて、それがシナプス結合して蘇る、というような味なのだった。
そして今回はそれが何処のものなのかがなんとなく思い出せたのが嬉しい。それは学生の頃住んでいた福島市森合の飯坂街道沿いにあった小さな中華料理屋のものだ。(店名は思い出せないのだが、おやじがひとりでやっている店だった)。
リーズナブルな値段の割にはあんまり繁盛はしていなくて、客と云えば金のない学生ぐらいだったのだけれども、そこの焼きそば(単なる焼きそばである)は、この味だった。それに足利で出会えるとはなんという喜び。流石にアジールの街足利である。
そしてもう一つの過去把持刺激装置がラーメンであって、このなんの変哲も無い佐野系のラーメンの麺の味は、どこかで喰ったものだ。たぶんそれは、餓鬼の頃、デパートの大食堂あたりで食った味のような気がするわけで、小鉄は(私にとって)哀愁漂う聖地となった。(笑)