夜鳴き蕎麦

石鳥谷そば提灯いまどき屋台の夜鳴き蕎麦(屋台のそば屋の意)なんて、落語の世界にしか生きていないのかと思えばそうでもないらしく、一昨日(11月1日)盛岡での〆は、石鳥谷そばという屋台のそば屋であった。

そば屋は二極化しているとのだと思うが――駅の近くの立ち食いか、なんだかよくわからない高級なお店か――、まさか盛岡で、こういうそば屋の原点のようなものにお目にかかれるとは思ってもみなかった。


  石鳥谷そば品書き やまかけそば

反則である

この日食べたのは、やまかけそばであり、蕎麦粉100%と思われる恐ろしく黒くて太い蕎麦は、箸ですくうとぼろぼろになってしまう。どんぶりの中は、微分化された、蕎麦の残骸だらけとなり、その微分は時間とともに進捗していくので、そのうち自分がなにを喰っているのかもわからなくなってしまう。

やまかけそばそれは私は既にかなり酔っ払っていたからかもしれないが――写真はフラッシュを忘れているし――、それが妙にうまいのである。

この蕎麦はずばり反則であって、世のおいしい蕎麦の定義はまるで通用しない。

喉越しもコシもへったくれもない。

ただこの蕎麦は、この世のものではない、ある種の強度をもった時空につながっている。

味噌おにぎり

061102 (28).JPGお土産に味噌おにぎりを一個もらって、ホテルの部屋に戻って食べた。

この日の盛岡はかなり冷え込んでいて、おにぎりも冷たくなっていたのだけれども、妙に複雑な味がした。

それは盛岡というパトリのもつ、懐かしさか、郷愁感のせいなのかは知れないが、暗い夜道にぼつんと存在するそのそば屋に、時代に翻弄される盛岡という街の一端をみたからかもしれない。 

2006年12月5日再訪。

味噌おにぎりこの日は天ぷらそばを食べた。屋台(みせ)は相変わらずのアジールさをもって客を迎え入れてくれる。

盛岡市民は幸せなのである。この屋台は違う次元への入り口のようなもので、あきらかにこの世と違う時空と繋がっている。ジャスコが何軒出来様が、 石鳥谷そばの存在感にかなうものではない。

そして、またしても味噌おにぎりをもらってホテルへ帰った。

 石鳥谷そば
(場所はよくわからないが、この辺か?違っていたら教えて頂戴!)
石鳥谷そば
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