桃知商店よりのお知らせ

地域に愛され世界に羽ばたく○○建設?―中小の海外進出促進。

午前5時30分起床。浅草は晴れ。 

中小の海外進出促進/振興基金活用しリスク排除/国交省(日刊建設通信新聞社)

国土交通省は、中小建設業の海外市場開拓を促すため、建設業振興基金の機能を強化し、海外市場調査などに対して資金面で支援する仕組みを構築する。企業規模を問わず海外進出はリスクが伴うが、中小建設業者にとってその影響がとくに大きく、海外進出を阻む要因となっていることから、建設業振興基金を活用しリスクを可能な限り排除する。資金面での支援に当たっては、建設業振興基金が国交省から受託している新分野進出等モデル構築支援事業の枠組みを念頭に置いている。

国交省は、諸外国との建設交流会議など建設業の海外展開に力を入れており、2007年度は、大手・準大手だけでなく、中小建設業の海外進出にも力を注ぐ方針だ。


桃論』の出発点はこうであった。

桃論公共工事依存型の中小建設業は、地域に特化した存在であることで、グローバル性に乏しい。

そしてその仕事は官製であるため、顧客は役人であり、気分は純公務員である――それは公共工事への依存度が高くなるほど大きい。

そんなもので、地元コミュニティとのコミュニケーションはほとんどない。

あったとしても役所というフィルターが介在してしまうため、コミュニケーションはいつもギクシャクしてしまう。

そんなものだから、地域からの信頼性は役人よりも劣ってしまう。

GC象限そのため、多くの公共工事依存型の中小建設業は、世界にも羽ばたかず、地域から嫌われる○○建設なのである。

それはGC空間では第4象限でしかないことで、グローバル性とコミュニティ志向が強まるインターネット社会では「どぼん」にしかならないだろう。

だからこそ、役人とだけではなく、地域社会とのコミュニケーションを通して、地域からの信頼性を確保しなくてはならない。

これが『桃論』の主題であり、そして(私が)言い続けてきたことだ。

それは現実化してしまっていて、今や多くの公共工事依存型の中小建設業は「どぼん」でしかないだろう。

しかしその対応策は無きに等しい――唯一の国策が新分野進出支援なのだろうが、それは新しい商売を始めましょうということでしかなく、そんなのは政策でもなんでもない。経営者なら誰でも何時でも考えていることだ。

まあ、そんなことも考えられないような金魚を育てたのは、政府の責任であることは少しは自覚しているので、責任逃れのポーズをとっている、ということなのだろう。

そして今回は海外進出である。

これは、GC象限図(GC空間)では、第1象限のことになる。

つまり、地域に愛され世界に羽ばたく○○建設である。

しかしそんなことが可能だと国交省は本気で思っているのだろうか――たぶんこれもポーズだろう。

(私なんか)なにか戦前の、みんなで満州へ行きましょう、に近いものを感じてしまった。

それは少しは海外で活躍する中小建設業というもは出てくるかもしれないし、特に個人レベル活躍することは可能だとは思う――つまりそれは個人の意欲がまず最初になくてはならない。それを政府が後押しする。

しかし個人の意欲がないのであれば(インセンティブを海外市場に感じないのであれば)、地場の工事が少なくなったらから、海外へ目を向けさせようというのは、闇雲な新分野進出同様、多くの中小建設業の体力を失わせるだけだろう――つまりこの性差は実質淘汰を加速させるだろう。モデル企業なんかに選ばれたらつらい。

それはこの戦略にのるべきでははい、と言っているのではない。

新分野の進出同様、〈やる/やらない〉はご本人が決めることだというだけのことだ。

ただ、開発主義の親玉である国交省が、保護政策ではなく、このようなソリューションを選択せざるを得ないほど、地方の公共事業という産業は追い詰められているということだろう。

そして、マーケット・ソリューションに対しては、その大きな流れに乗る以外に、有効策がないことを象徴していると(私は)思う。

私は建設産業を縮減させるなら、そのためのプログラムをきちんと作成して時間をかけて実行していくことが大事だと主張してきた。

それは何度も書いているように、公共工事依存型の中小建設業は、開発主義という戦後の経済政策の中で生まれてきたものである――市場原理がつくったものではない。つまり「金魚論」。

そして、それは多くの地方の存在の過程でもあるからだ。

であれば、開発主義は市場原理に任せるのではなく、政策的に終焉させるのが筋だと(私は)考えている。

市場原理の導入はどんな馬鹿でも出来ることだ。

それは国(類)や自治体(種)のレベルでとる戦略ではないだろう。

しかし現実には市場原理の導入を得意げに行っている。それは単なる思考停止でしかないと(私は)思う。 

Comments [3]

No.1

そこなんですが、世界に羽ばたく○○建設は地域に愛されるような努力を既に始めているわけで・・・

昨年の竜巻災害の時、工事瓦版などを配り地域住民に融け込む努力が実を結んでいました。

動かないでいる内にここでも格差拡大なのね。

No.2

コメントが消えてしまったようで・・・まぁいいや!

No.3

>悪魔さん

大手さんの戦略は私たちの先を行っていますね。
地場はそれに気が付いていながら動けない。

なぜ動けないのかを考えているときに、玄田有史の『仕事のなかの曖昧な不安』にであったのですが――つまり広くて薄い紐帯の可能性ですね、しかしそれも自ら動き出さないことには機能しないものであることで、格差は大きくなってしまっているのでしょうね。

なぜ動けないのか。
永遠の課題でしょうか。

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