創造力なき日本

午前6時30分起床。浅草は晴れ。この本は上野駅の明正堂書店で見つけ購入したものだが、しかし、この『創造力なき日本』という本を、村上隆が書いたなんて、思いたくても思えないものだった。

DOBそれは村上隆を「DOB」の作者として捉えていた7年前のあたしがまだ生きていたことの証だろうが、かといって、今「DOB」を見ても、あの頃感じたものが、今はちゃんと言葉で説明できる、という、どちらかというと、「いやらしさ」が残っている。

でも、この本に関して云えば、『アートの現場で蘇る「覚悟」と「継続」』という副題が示す通り、非常にストイックな、ともすれば真面目な、ともすれば退屈な、ともすれば現代美術家じゃない、村上隆の考え方そのものが出ているように思える。

それは斉藤環氏の影響で村上隆を見ていたからだろうが、「カイカイキキ」を三百年続かせる会社にしたくて、そしてそこから歴史に残る作品を生み出そう、としている村上隆は、それはそれで素敵な存在に思えてくる。

しかし、その考え方は、あたしが今とても気に入っている会田誠とは見事に正反対であり、その全てにおいて、対比をなすものだ。どちらかと云うと会田誠の方が、その生き方においてあたしの心を奪い去ってはいる今日この頃なのだが。

これは会田誠と村上隆を少しでも知らないと分からないだろうが、この二人が対談している本がある。それが『美術手帖 2013年 01月号』なのだ。まさに、『アートの現場で蘇る「覚悟」と「継続」』こそが村上隆を造りだしたものなのだろうが、会田誠の「わからなさ」は、どうしても心から離れない(つまり「ラカン」などを持ち出せない)、あたしのマイブームなのだった。

美術手帖 2013年 01月号

美術手帖 2013年 01月号 [雑誌]

特集 会田 誠
"天才芸術家"はいかにしてつくられたか?

美術出版社
2012年12月17日
1600円(税込み)