亀屋の下町ハイボール
午前6時起床。浅草はくもり。金曜日の夜は、向井田さんと一緒に喜美松で呑み、その後、二人で鐘ヶ淵の亀屋まで出掛けたのだ。亀屋を訪れたのは2009年の4月以来で、じつに4年ぶりである。
その間、あたしは病で倒れ、亀屋は区画整理で建物が消えてしまう、という二重の断絶で、あたしと亀屋の間にはぽっかりと穴があいてしまっていた。もしかしたら鐵蔵さんが「酒場遺産」と呼んでいたとおり、このまま一生あえないのか、とさえ思った。
その亀屋が復活したのは2年前の事だそうで、あたしは来集軒から建て替えられた亀屋をただ見ていただけだったのだ。
そして今、カントクの姿はなくなり、外見は全く違うものになっていたが、しかしあの亀屋であることには違いなく、懐かしい顔のかあさんと、カウンターを見れば昔のものを使っているという心配りに、ようやくあの亀屋に来た、という実感が沸いてきた。
亀屋と云えば下町ハイボールである。コップに炭酸を入れ、レモンの切れはしを添え、そして焼酎と秘密のハイボールの素を入れる。これがうまいからどうしようもないのであり、そしてこれで280円なのである。
この日も下町ハイボールを頼むと、肴は何時ものように目玉焼きであった。目玉焼きなんて、と云われるかもしれないが、それを可能にしているのは、この店の子宮的構造のせいなのだ、と狭い店の構造に頷き、目玉焼きに醤油をかけて、あたしと向井田さんで半分してたべたのだ。
亀屋
東京都墨田区東向島5-42-10
03-3612-9186
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