鴨せいろ
午前6時20分起床。浅草はくもり。北上野三日目のこの日、三日目とはいえ、間が二日も空いたものだから、あたしは二日目と同じ「満月」で
この日は何を食べようか、と
しかしあらわれた「鴨せいろ」は、どこをどう見ようとも「鴨せいろ」なわけで、これは「かきあげそば」のようなべらんめい調の破綻がないのである。
今日もあの日と同じくワサビも葱も別添えでやってきた。しかし少しも驚くことはない。あたしは大盛でお願いした蕎麦を手繰りながらも、なんとも普通の味だな、とあたしを少しも不安に陥れないこの「鴨せいろ」を見たのだ。
細めの蕎麦に、懐かしい味としか言い様のない汁が、脂を蓄えた鴨肉となんともうまくマッチングしている。しかしなんの不安にもないこの店の、何がその秘密なのかを知りたいと思うのだが、やって来て二日目の新参者に、そんな難しいことなど解る分けはないのである。[浅草でランチ]