カマンベールもんじゃカマンベールもんじゃ


六文銭 支店のカマンベールもんじゃ

午前5時起床。浅草は雨。カマンベールもんしゃである。なんと10年振りに六文銭 支店で食べたのだが、このもんじゃを前に思い出すテクストは、この哲学的な食い物を鉄板にのせる前から哲学的にする。

なにもそんなに難しく考える必要はないじゃないか、と云われそうなので、そのテクストを再掲する事は控えるが、でもこの工程一つ一つに意味合いがあることを忘れないでほしい。そして味の決め手はやっぱり「味の素」であることもである、と笑ってあたしはビールを呑んだのだ。[浅草グルメマップ]

それは、鉄板に具だけを乗せ、へらで細分化することからはじまる。もんじゃの具は、東洋の食べ物は基本的には極小に向かうという定理に従う。それは結合でもなければ密集でもなく、まずは極小に向かって散逸する。

そのカオスの正体は、小麦粉の水溶液に、ウスターソースをレンゲ三杯、塩、コショウ、味の素を少々加えて混ぜ合わせた、茶褐色の液体である。

この茶褐色の混沌がないことには、具はただの炒められた野菜のくずであり、チーズの破片である。具はこの混沌の水溶液を迎え入れることで、新たな生命(存在意義)を得るに過ぎない。

しかしその秩序は一瞬にして崩壊する。

カマンベールもんじゃは、その極小を取り入れることによって、茶褐色の小麦粉の水溶液の焼き物ではなく、多層をなした無限小の集合として表出する。

六文銭 支店
東京都台東区浅草1丁目8−4 末広ビル