紅しょうがの天ぷら
「紅しょうがの天ぷら」である。「ジョイフル三ノ輪」は存在自体が不思議な商店街で、こうして「紅しょうがに天ぷら」を買いにいくことがある。場所は「お惣菜の店 きく」あるが、ここの「紅しょうがの天ぷら」は「都電名物 紅しょうがの天ぷら」の旗のとおりである。
しかし、その「都電名物」も「名物にうまいものなし」の諺通り、決してうまいとは思えないのだ。だけど不思議なことに「ジョイフル三ノ輪」に来れば、ちゃんと「紅しょうがの天ぷら」を買って帰るのである。この心情はなんなのだろう。決してうまいとは思えないものを必ず買って帰るのである。
あたしらはちょこと食べるようにと1枚を紙に挟んでもらい、夕餉のお供に2枚をパックに入れてもらった。今日の「紅しょうが天」は、ばらばらの「紅しょうが」を漸く繋ぎ止めているその繋ぎが、まだ温かく、でも揚げてからは10分以上は経っているだろうというものだった。
家に帰ってこれを食べた。これがうまいか、と云えば、答えは微妙なのだが、「紅しょうが」のもつ独特の味がする。蕎麦に入れたらきっとうまいに違いないな、と今更ながらに思うが、それもつくらず、ただこの下町の「名物」を食べたのだ。
お惣菜の店 きく
東京都荒川区南千住1丁目19-2