ハムカツハムカツ


加賀屋 錦糸町店で呑む

午前5時20分起床。浅草は雨。錦糸町で呑んだ。「加賀屋 錦糸町店」である。「加賀屋」は6年前に「南池袋店」を使って以来なのだが、酒肴はまあ何処にでもあるものなのだ。この日は、「ポテトサラダ」、「ジャガバタ」、「もつ焼き」、それに「ハムカツ」であった。勿論ビールをもらった。スパードライである。

しかし、最後に出てきた「ハムカツ」には度肝をぬかれた。まるっきし「オムレツ」なのだ。その「オムレツ」の下に「ハムカツ」があるのだ。確かに「ハムカツ」は他の揚げ物よりも値段が高い(たぶん)。何故かは出て来るまでは分からなかったが、出てきた姿を見てなるほどなと納得がゆく。

あたし達が行った時間帯(午後6時頃だった)は、ここは多くの人達で賑わっていた。さすが錦糸町の大衆酒場だ。チェーン店であり、決して洗練されたものを出すわけではないが、ただ、その昔、高村光太郎が詩集『道程以後』の中の「米久の晩餐」で詠んだような、群集がいるのだ。

ぎつしり並べた鍋台の前を
この世でいちばん居心地のいい自分の巣にして
正直まつたうの食慾とおしやべりとに今歓楽をつくす群衆、
まるで魂の銭湯のやうに
自分の心を平気でまる裸にする群衆、
かくしてゐたへんな隅隅の暗さまですつかりさらけ出して
のみ、むさぼり、わめき、笑ひ、そしてたまには怒る群衆、
人の世の内壁の無限の陰影に花咲かせて
せめて今夜は機嫌よく一ぱいきこしめす群衆、
まつ黒になつてはたらかねばならぬ明日を忘れて
年寄りやわかい女房に気前を見せてどんぶりの財布をはたく群衆、
アマゾンに叱られて小さくなるしかもくりからもんもんの群衆、
出来たての洋服を気にして四角にロオスをつつく群衆、
自分でかせいだ金のうまさをぢつとかみしめる群衆、
群衆、群衆、群衆。 (高村光太郎:「米久の晩餐」より)

ポテトサラダ

ジャガバタ

もつ焼き

加賀屋 錦糸町店
東京都墨田区江東橋2丁目17-4 錦糸町ファミービルB1F