デイノケイルスデイノケイルスs


そしてその、一体時何が起きたのだろう

この写真は、7月13日に上野の国立科学博物館へ「恐竜博2019」へ行った時のもので、3連休の始めの日、そして、午前中は晴れ間も出ていたものだから、子供達が沢山いたのだ。子供達にとって恐竜の化石はどう映っているのだろう、と思う。この日は手にカメラやノートを持った子供達がとても目立っていた。

今年の「恐竜博」の目玉は2つある。一つは「デイノケイルス」という2.4mの長い腕をもつ謎の恐竜である。名前の意味は「恐ろしい手」。正式な学名は「デイノケイルス・ミリフィクス」。「ミリフィクス」とは「尋常ではない」の意だ。約7000万年前の、中生代白亜紀後期のモンゴルのゴビ砂漠に生息していたと云う。

初めての展示であるこの恐竜はでっかい。体長は推定で11m、体高5m、体重6.4tだ。この恐竜はポーランドとモンゴルの発掘チームによる1965年の発見以来、他の化石が全く見つからず、その全容は半世紀にわたって不明のままだったそうだ。それが2006~2010年に行われた発掘調査で、突謎が明かされることとなった。それが今回の展示である。

もう一つは「むかわ竜」である。日本の恐竜発掘史上最大の発見、と云われているこの「むかわ竜」は、北海道むかわ町で、全体の85%が、約7200万年前の地層で見つかった。全長8m以上あり、大型草食恐竜ハドロサウルス科に属するとさる、全身の実物化石と、それをもとに復元した全身骨格が、むかわ町以外で初めて公開されている。

あたしは「むかわ竜」という名を初めて見たとき、「これはししゃもを食っていたのかね」、と思ったが、たぶん、それは絶対に無いだろう、と思い返した。草食なのだ(笑)。

しかし、あたしの気を本当に惹いたのは「デイノニクス」の展示場だった。これは「テノントサウルス」と一緒のスペースに展示されていたのだが、何故なら「デイノニクス」と「テノントサウルス」の化石が一緒に見つかったからだ。そこで何故と考える。その一つが「デイノニクス」の猟の結果としてだ。

イェール大学ピーボディ博物館が所蔵する「左あし」の標本も、日本で初めて展示されたそうだが、その「デイノニクス」が飛び跳ねて「テノントサウルス」を襲う瞬間が展示されているのだ。その展示の仕方が素晴らしい。それは妙に生々しい瞬間であって、例え人間の創造性の枠内であろうが、実際にあったかの様にその瞬間を切り取って見せた。

そしてその時、一体何かが起きたのだろう、と考えさせられる。

なにせ狩人である「デイノニクス」達はそのまま化石への道を進むのだ。この他にも、「マイアサウラ」が子育てをしている様子が、化石とは思えない生々しさを持って展示会場の1ページを飾っている。これも又、その時何かが起きたのだろう、と考えさせられるのだ。

恐竜の化石は、子供の頃からあたし達の創造性を刺激し続けてくれる。そして研究が進むにつれて変わっていくく色や姿勢。挙げ句に形まで変わる。「恐竜展2019」はまさに創造性の母胎だ。そうそう、スーパースター「T-REX」もちゃんといたのだ。でも今回は流石に脇役だった、と云わざるを得ないけれどもね。

むかわ竜

デイノニクスとテノントサウルス

デイノニクスの左あし

マイアサウラ

マイアサウラの子供達

T-REX

国立科学博物館
東京都台東区上野公園 7-20