にしんそば(転地返し)にしんそば(転地返し)


にしんそば

午前5時起床。浅草は晴れ。この日は蕎麦を食おう、と云うことになり、久々に三丁目の「弁天」へ行った。ガラリと引き戸を開けると、うまい具合に小上がりに空きがあり、早速あがると品書きを見る。何にしようか、と一応品書きをしげしげと眺めた。

この日は家人とあたしが同じものを頼むことで一致する。そう「にしんそば」だ。

この「にしんそば」は、その汁の色が劇的に変わるのが面白いのだが、この日は二人とも興味が同じだったようだ。兎に角「転地返し」でひっくり返りて変化をためしてみたいのだ。あたしは蕎麦が来る前から「転地返し」を想像している。

早速蕎麦がくると、まずは記念写真をとる(まあ、これはお決まりなのだった)。そして、透明な表面の汁をレンゲで掬って飲む。おーなんとも云えない出汁のうまさだ。もう一杯を飲む。この汁のうまさは、間違いなく浅草ナンバーワンだろう、と思った。

汁を一通り楽しんだら、お待ちかねの「転地返し」である。この蕎麦は(改めて書くが)、「にしん」が蕎麦の奥深く潜まれている。そしてその上に蕎麦をのせ、最後に汁をのせたのだ。その「にしん」を表に出してやる行為を「転地返し」と呼ぶのだが、当然い蕎麦もついでに「転地返し」なのだ。

それは神がかった瞬間である。汁がだんだんといろずいてくるのだ。この「転地返し」の完了の瞬間こそ、「にしんそば」が全てを剥き出しにする瞬間である。それは小さな静から動への変化だが、気分を変えるには充分なのだ。さあ、食え「にしんそば」を、である。[浅草グルメ] [お蕎麦deランチ]

にしんそば

そば処 弁天
東京都台東区浅草3丁目21ー8