カレー南蛮そば玉落としカレー南蛮そば玉落とし


翁そば

午前3時30分起床。浅草はくもり。「老舗」と云うのはなんだかわらないものがいるような気がする。それを「まっくろ黒すけ」とあたしは呼ぶのだが、もちろん見えやしない。でも、その「まっくろ黒すけ」がいるお陰で、より一層味はうまくなる。これは店に住み着くもので、新しくなった店舗では最初はこうはいかない。

新しい店舗になると如何しても出てこない味なのだが、そのうち「まっ黒くろすけ」が集まってくる。それが「老舗」と呼ばれる店の凄さだが、それは古い店のなかに住むなにかなのだろう。昔、酒の醸造元を訪れたとき、その古い建物に住み着いた菌のようなもの(麹菌、酵母菌など?)が確かにいるな、と感じたことがある。

カレー南蛮そば玉落とし

ここ「翁そば」にもきっと「まっくろ黒すけ」が住んでいるに違いない。今日は夕餉を「翁そば」でとることにした。いやーようやく行けたと伸びをした。今日は「カレー南蛮そば玉落とし」を注文する。夜の「翁そば」は静かだが、この日はまあまあの人入りだった。

ただ昼餉の慌ただしさもなく、席も自由に使える。いつものようにゆっくりと「カレー南蛮玉落とし」が出てくる。この「玉落とし」は「浅草角萬」でも聞くことばだが、もちろん「ぎょくおとし」と云う。おう、今日のは「ぎょく」がよくみえるぜ、と写真を撮った。

すれば早速手繰るのだ。まずは表面張力の力を破って鶏肉を食べる。うん、うまい。なんてことはないこの鶏胸肉を、カレー味の汁が覆うだけで劇的に旨さが変わる。そして未だ熱々の内に玉をこの汁に混ぜる。あー白身がそれこそ白く固まってくる。それも箸の軌道をなぞるようにだ。

「ハイブリッド」と云うか「マリアージュ」である。蕎麦の持つ多様性をこのカレー汁の中に内服していることが分かる。そして蕎麦が太いのだ、その太いそばをズルズルと手繰るのである。あー「カレー南蛮玉落とし」、あたしはこの蕎麦があらゆる「カレー南蛮そば」の中で一番好きだ。[浅草グルメ] [お蕎麦deランチ]

カレー南蛮そば玉落とし

翁そば
東京都台東区浅草二丁目5-3