うさぎやの柏餅柏餅


柏餅

午前4時起床。浅草はくもり。この日は上野まで散歩で出掛けていた。散歩は特別な道具や訓練もいらない。どこでも行くことができる。あたしは糖尿病になった当初、運動をしなくてはならない、という脅迫概念のようなものがあったのだが、最近はもっぱら散歩だけでよい、と思っている。

要は何でもいいのである(笑)。身体を動かしていればそのうちいいことが起こるかもしれないのだ、まあ、その反対もあるだろうが(笑)。その散歩の途中、家人が「うさぎや」へ行こうという。散歩の途中に、こうして店に立ち寄るのは実は楽しみな行為で、店に寄るために散歩している、といってもよいのだ(笑)。

家人は勿論「どらやき」を買いに寄ったのだが、あたしは、折角「うさぎや」に寄るのだから「柏餅」も貰おうと口をだす。「うさぎや」は「どらやき」で有名(どころではない)店だが、(端午の節句も近い今日)「柏餅」もあるはずなのである。そして家人が列に並んで順番を待った。あたしは近くの歩道で待っていると、やがて家人が二つの包みを抱えてきた。

襞のない餃子というか貝のかたちをしたうさぎやの柏餅

ようやく家に帰って包みを開けてみる。それはしばらく忘れていた柔らかい和菓子の贈り物である。2つの「柏餅」だ、漉し餡(白)と味噌餡(ピンク)である。東京では「味噌餡」がフツーにあるのだが、あたしの生まれた処では滅多にお目にはかかれなかった。そして餅にも二通りあることを知ったのは浅草に住んでからだ。

柏餅にはふたつのタイプがある。(それは私の勝手な分類だけれども)。ひとつは平たく丸めた上新粉の餅を二つに折りし(つまり襞のない餃子というか貝のかたちだね)、その間に餡をはさんで柏で包んだもの。もうひとは、餅を饅頭状態にまるめ(勿論餡はその中に入っている)、それを柏で包んだものだ。 「柏餅。(徳太樓:観音裏・浅草3丁目)

あたしは浅草で二つ折りの貝のかたちをした餅を一箇所でしか見たことがなかった(若しかしたらあるのに気がついてないだけかもしれないが)、このスタイルを浅草で見たのは「水源」だけなのだ。それも今はないのである。「うさぎや」の「柏餅」を見てはて、これはどっちなんだろう、と考えていた。

「うさぎや」の「柏餅」は上品である。大きさもどちらかというと小さい。そして形ははっきりとしないようだが、どうやら二つ折りの貝のかたちをしている。あたしはなぜかうれしくなり、御法度のはずの「柏餅」を、それぞれ半分ずつた食べたのだ。あとはどうなっても知らないとばかりにである(笑)。

うさぎやの柏餅

うさぎや
東京都台東区上野一丁目10-10