ふじた食堂の肉どうふ定食ふじた食堂の肉どうふ定食


ふじた食堂の肉どうふ定食

午前5時30分起床。盛岡はくもり。寒い朝である。昨日、新幹線で盛岡入りしたあたしを迎えてくれた昼餉ランチは、「ふじた食堂」の「肉どうふ定食」であった。ただ、あたしは定食とはいかず、ご飯抜きのものだった。

「肉どうふ」と云えば、浅草は居酒屋浩司の肉豆腐を思い出す。どう考えても酒の肴(酒肴)であり、定食のおかずになるとは思えなかったのだが、しかし「ふじた食堂」の「肉どうふ」は、目の前に出てきたその時から違っていたのである。

その色は「デミグラスソース」と云っても好い、正に長時間煮込んだ玉ねぎの色であった。その煮込んだ「デミグラスソース」のような玉ねぎと肉が、これまた確りした豆腐の上にのっているのだ。

その豆腐というのが、「これが豆腐というもんだよ」、と云わんばかりの、あきらかに浅草で食べる豆腐とは味が違うものだった。味がハッキリとしている。それを甘辛い味の中で甘さが全てを支配しているような「デミグラスソース」擬きがまとめあげるのであった。あたしはちょっとご飯が欲しくなってしまった。

ふじた食堂

ふじた食堂を一言で云えば、時間の流れがゆるいのである。あたしらの前に来ていた人は、食べ終わると横になって眠ってしまった。それを店のおかあさんは何も云わずにそのままにしておいてくれる。お昼の時間にである。

あたしはちょっと時間の感覚をなくしそうになった。あたしは立ち喰い蕎麦でランチにすることが多いのだが、残念ながら横になるところなどないのだ。こんなところなど皆無だろ。盛岡とは云え、なんとも時の流れが狂おしいような場所なのであった。

ピラ

ふじた食堂

ふじた食堂
岩手県盛岡市花畑1丁目13-12