春菊天そば春菊天そば


しょっぱいものが食べたい

午前4時30分起床。浅草はくもり。食わなきゃいいのに、と思うが、又「春菊天そば」を食べに「文殊浅草店」に行くのである。「文殊店浅草店」に行くときには、しょっぱい蕎麦が食べたい時なのだよ、と自分の癖を笑う。しかし、しょっぱい蕎麦は時々無償に食べたくなる一方、味の濃い、確りとした蕎麦(の汁)が身体に悪いことは言うを待たない。

「しょっぱいのが大好きですねー」、とは鐘ヶ淵のあたしの主治医の言葉だが、糖尿病患者は甘いものが好きなのはよく分かるが、しょっぱいものがそれにも増して好きなのである。だから全盛期に食べたものにはしょっぱいものが並ぶのである。例えばポテトチップスとか塩辛とかだ(笑)。

しょっぱいもののお陰で、あたしの腎臓は半分しか機能していない。腎臓を少しでも持たせるために(透析にならないように)、日々減塩に励み13年目の夏になる。なんとか数値はいつも同じでなんとか持ってはいるが、このしょっぱい蕎麦を食べたい、という欲望は止めようがないのである。

春菊天そば

それは意識しなくとも想い出させる脳味噌の奥の奥から染み出てくるようなものなのか、あたしはその「欲しい」には従うしか無いのだ。そして「文殊浅草店」の食べるのは「春菊天そば」なのである。「文殊 浅草店」の「春菊天そば」は(あたし的には)日本一うまいのだ。

紅黒く染まった汁の中に蕎麦が浮かび、その蕎麦をなるべく邪魔しないようにと春菊天がのっている。そしてパラパラとネギがかけられ、この控えめな作品を作り上げている。控えめこそこの蕎麦を言い表す言葉だろう(但し塩分はそうではない)。それは春菊天にも表れていて、決して丼の蓋のようなまねはしないのだ。

そして春菊は切られいて香りが強く広がる。やがて時間が経ち、汁の中で衣が溶けた「天ぷらそば」の最高の時の姿が又素晴らしい。この「春菊天」はばらばらになり丼一面に広がるのだ。そしてしょっぱい蕎麦を手繰るああたしがいる。でも汁はのまないのであるが、あー、思い切って飛び込みたいような汁なのである。[お蕎麦deランチ] [ 浅草グルメ]

春菊天そば

文殊浅草店
東京都台東区浅草一丁目1-12 浅草地下街