聖地――清司
午前3時30分起床。浅草はくもり。
浅草二丁目の喧騒、『居酒屋浩司』で一杯やったあとの足は、自然と北へ向かう 。
三丁目あたりまで来ると、街の賑やかさはぐっと落ち着きを増すが、あたしたちにとっての「聖地」である『すし処 清司』の灯りは、今夜も温かく迎えてくれたのだよ。
今日はこの聖地に、井之上さんと阿部さんと一緒にやってきたのだ。
冷酒と、心尽くしの肴
まずは冷酒をもらって乾杯だ。お供には、喉ごしのいい「もずく酢」と、美しく包丁の入った「タコの薄造り」を。
このタコの弾力と吸い付くような旨みが、キリッと冷えたお酒をさらに引き立てる。
これぞ江戸前の小気味よさ、といった趣なのだよ。
職人の技が光る握りと、温かな一品
寿司は一人前ずつ握ってもらう。マグロ、海老、いくらに光り物……宝石のように並んだ一皿を目の前にすれば、自然と背筋が伸びるというものだ。
合間に出していただいた茶碗蒸しのようなもの(名前は失念してしまった)も、お出汁が優しく胃に染み渡る。
そして、ふっくらと焼き上げられた「穴子」。
タレと塩、それぞれの持ち味を堪能する贅沢。いや、さすがに「清司」だ。間違いなく、うまいのだよ(笑)。
「名前が出てこない」を笑い合える幸せ
旨い寿司を頬張りながら、話題はいつしか昔話へ。
「ほら、あの時のあの人……」
「そうそう、あの特徴の!」
不思議なもので、顔も当時のエピソードもはっきり分かっているのに、肝心の「名前」がどうしても出てこない(笑)。
「あー、あたしたちもそういう年になったのだよ」と顔を見合わせて笑い合う。
けれど、そうやって度忘れすらも笑いに変えてしまえる仲間と、この聖地で過ごせる時間。
それこそが何よりの馳走なのだと感じた夜だった。勿論、うまかったのだよ(笑)。
PS. 井之上さんへ
また浅草にお越しの際は、ぜひ声を掛けてくださいな。
楽しいひとときを、ありがとうございました。
[浅草グルメ]
すし処 清司
東京都台東区浅草三丁目22-12 新坂ビル1F

