そばまさ
午前3時起床。浅草は雨。8日の夜、あたしは水戸にいた。翌日に常陸大子で仕事があり、前のりで水戸に入ったのだ。水戸に来たのは久しぶりだったが、あたしの会いたい人は一人しかいない。
そう長谷川紀子さん、長谷川社長だ。その長谷川さんに連れていってもらった蕎麦屋が「そばまさ」というところで、ここの料理は常陸大宮生まれの大将同様、心遣いが暖かい。そしてその蕎麦ときたらうそみたにうまいのだ。
常陸秋そばという地物の蕎麦粉を使い、打ち上げる蕎麦は東京の蕎麦とはまったく違う。
あたしは「細うち」と「太うち(田舎蕎麦)」の二種類の蕎麦をもらって食べてみた。
この二つの蕎麦ときたら、同じ人がつくったとは思えない程にまったく違うのである。
「細うち」は喉越しもよく、いくらでも入っていくという感じだ。つまり手繰れるのである。
つまり東京の蕎麦と同じスタイルで楽しめるが、呑み込むときに広がる蕎麦の香りがたまらないのだ。茨城まで来たかいがある、というものだ。
一方「太うち」は口に入れると普通の蕎麦のルールがまったく通用しない。
つまり手繰れないのである。
やっと一本か二本をつまみ、もそもそと、しかし、しっかり噛んで蕎麦を食べる。
いや、これがまたうまいのだ。
その一本一本を箸に取って噛むとき(一本一本を箸に取らなきゃどうしようもないのである)、さらに蕎麦の香りが強く鼻へと押し寄せてくる。
いや、これにはまいった。あたしは血糖値のことなんでどうでもいいと思って蕎麦を食べた、いや噛んのだ(翌朝、案の定高かった)。そしてこういう(太うち)蕎麦をうまいな、とさえ思う、正に太うち蕎麦にやられた夜であった。ありがとう水戸、そして長谷川社長だ。
そばまさ
茨城県水戸市浜田1-2-45