アメリカンコーヒーとホットケーキアメリカンコーヒーとホットケーキ


ホットケーキと結界のある創業昭和2年の喫茶店

午前4時起床。浅草は晴れ。浅草六区で夕餉の仕度を買い、新仲見世商店街の喫茶店「ハトヤ」で一服だ。「ハトヤ」は創業は昭和2年の老舗だが初めて入るところでもある。いつも見るだけだった古ぼけた入り口は、確実に「結界」がある(見えやしないけれど)。だいたい今時「結界」がある店など無くなっていく浅草なのにだ。

「結界」とは、その場が「公界(アジール)」であることを示している。その為、ちょっとだけ敷居が高い。つまり(例えば「居酒屋 浩司」に入るにしても)お金で解決できない壁のようなもの(それをあたしは「結界」と呼んでいる)があるわけで、しかしこの歳にもなると、それがその店に入る理由にもなる。

「ハトヤ」では「アメリカンコーヒー」を頼む。家人は「ホットケーキ」をプラスした。10年間云われ続けてきたことだが、「あなたも食べたいでしょう?」は、そりゃないぜなのである。しかしここは時間がかかる。「アメリカンコーヒー」と「ホットケーキ」が出て来るまでにである。

あたしは思ったのだ、すっかりチェーン店化された体内時計を遅らせる必要がある、と。

ただ、厨房の奥で一所懸命に「ホットケーキ」を焼くお婆さんの姿を見ていた。その丹念に焼き上げる姿はまるで「神」に見えたのだ。(あたしは)すっかり見入ってしまう。これは絶対にうまいぞと思う。時計はもうどうでもよくなっていたのだ。そして出てきた「ホットケーキ」はやたらとうまそうだったけど、やはり食べられないものだったのだ。[浅草グルメ]

ホットケーキ

アメリカンコーヒー

ハトヤ
東京都台東区浅草1丁目23-8