佃權のおでん佃權のおでん


川井涼子氏制作の佃權のおでんを食べた

午前4時起床。浅草はくもり。けんけんの元自宅で「おでん」を食べた。今頃「おでん」かい、と云われそうなのだが、今頃「おでん」なのだ。料理人は川井涼子氏。おでんの種は築地の「佃權つくごん」のものだ。

「佃權」は創業140年を数える老舗だが、この6月末で店を閉めるという。理由は跡取りがいないことらしいが、築地か豊洲かで騒がしい今の時代がそうしたのだろう(と勝手に思っている)。それぐらい、老舗が店を畳むのは、当代の店主の決断の凄さを実感するのだし、あたしらのあさはかな考えなんて思いもよらないものがある。

そして料理は川井涼子氏だ。この人のことを何も知らずに、訪れてくるおやじの為に、まずは「お椀」が出迎えてくれる。見てくれ、この何もない環境下で、よくもまあこれだけ凝ったものを造ったものだ。こういうものを見てこころはホットする。

それから「おでん」が出てきた。あーこれは家と同じ味がする。家の「おでん」が一番うまい(と思う)。(家の「おでん」は)兎に角かける時間が違うのだが、よくも短時間にこれだけの味に仕上げたものだ。これは「佃權」の種もよいのだろうし、川井淳子さんの腕も良いのだろう。

そして、「おでん」の次には「筑前煮」と「きんぴら」がでてきた。益々心が笑う品揃えである。酒は「あさ開」。何と云う心遣いだろうと思った。こういう料理を見ていると浅草三丁目の「おかめ」を思い出す。真夏でも「おでん」があるのは同じだ。いいな、こういう飯は大好きだ、とすっかり有明にいることを忘れてしまった夜だった。

お椀

筑前煮

きんぴら

おでん